犬にアケビを食べさせても大丈夫だが注意も必要
ハイキングに行ったお友達から、お土産としてアケビをもらったものの、食べ方もわからないし、ましてや愛犬に食べさせてもよいのか心配、とお悩みの飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、ほんの少しだけなら犬にアケビを食べさせても大丈夫です。しかし、わざわざ購入してまで食べさせる必要はありません。
今回は、山の果実アケビとはどんな食べ物なのか、犬にはどんな健康効果が期待できるのかなどについてお話しします。
もし、犬にもアケビを食べさせる場合は、注意点もしっかり把握しておきましょう。
アケビってどんな食べ物?
アケビを食べる習慣がある地域にお住まいの方なら、果皮や果肉部分などが食べられることはよくご存知ですよね。
ただ、アケビを知らない方も多いと思いますので、どんな食べ物なのか簡単に説明しますね。
アケビは、日本や東アジアの山林に自生するつる植物で、秋になると紫や褐色の10cmくらいの果実をつけ、熟すと縦にパックリ開きます。
アケビの果皮の中には、白っぽい袋に包まれたゼリー状の果肉が入っています。この果肉部分はほんのり甘く、黒い種がビッシリくっついているのが特徴です。
果肉は生のまま食べますが、種はスイカを食べるときのようにはき出します。
アケビの果皮は苦味(アク)が強いため、生では食べることができません。味噌炒めにしたり揚げたりしたものが、おかずとして食卓にのぼります。
アケビが含む栄養成分と犬に期待できる健康効果
アケビが昔からおかずとして利用されてきたからには、きっと栄養が豊富なはずですよね。
アケビに含まれる特徴的な栄養成分と、犬にはどんな健康効果が期待できるのか見ていきましょう。
アケビの果肉にはビタミンCがたっぷり!
アケビの果肉部分には、ビタミンCがたっぷり含まれています。アケビの果肉部とイチゴを各100gで比較すると、アケビは65mgでイチゴは63mg。
なんと、アケビの果肉部分のほうが、イチゴよりもビタミンCが多く含まれているんです。
ビタミンCは、紫外線による肌ダメージの回復や、コラーゲンの生成を助けるほか、丈夫な骨に必要なビタミンDを生成することでも知られています。
犬の体には被毛がありますが、白系など被毛の色素が薄いワンちゃんや短毛種のワンちゃんは、強い紫外線には注意が必要です。
紫外線を浴びすぎると、鼻や耳、口周りなど、被毛の少ない箇所が日焼けして色素が沈着することがあります。
また、紫外線を浴びすぎた犬の体内では活性酸素が大量に発生するため、老化現象の加速や白内障などを起こしやすくなります。
こうしたダメージから守ってくれるのがビタミンCの働きです。
アケビの果皮には食物繊維がたっぷり!
アケビの果皮には食物繊維が多く含まれています。果肉部にも含まれているものの、果皮のほうが3倍近くとたっぷりです。
食物繊維が多い野菜のゴボウと比べると、アケビはゴボウの半分強の食物繊維を含んでいますから、意外と多いことがわかります。
食物繊維は、犬のお腹の調子を整えて便秘解消や毒素の排泄に役立ちます。
腸内環境を整えてお通じをよくすることは健康や長寿にもつながるので、食物繊維は犬にとっても大事な栄養素だと考えられています。
アケビの果皮にはカリウムも豊富
アケビの果肉にもカリウムが含まれていますが、果皮には約2.5倍のカリウムが含まれています。
アケビの果皮のカリウム量をほかの果実と比べてみると、イチゴの約1.4倍で、カリウムが多いバナナの約2/3です。
細胞内に多く存在するカリウムは、細胞を正常に機能させるために欠かせないミネラルです。
カリウムは、神経や筋肉の情報を正しく伝達し、体内の塩分バランスをとる働きを持っており、欠乏しても過剰になっても、犬の健康に悪影響を与えてしまいます。
また、高タンパク質の食事を与える場合は、カリウムの要求量が増えることも知っておいてくださいね。
アケビの果皮はアントシアニンの宝庫
アケビの果皮には、アントシアニンというポリフェノールの1種の天然色素が含まれています。
アントシアニンは活性酸素を除去する抗酸化力を持っているため、白内障の予防や目の疲れによいことで有名です。
ほかにも、花粉症の予防や内臓脂肪の蓄積を抑える効果などが知られています。
犬の白内障やガン、認知症、関節炎といった老化症状や病気などは、抗酸化力のある成分を補うことで予防できると考えられています。
犬にアケビを食べさせる際の注意点
アケビの果肉のカロリーや糖質に注意
アケビの白くて甘い果肉部は、カロリーや糖質が高いのが特徴です。
アケビ1個の果肉部のみ(約20g)のカロリーは約16kcalで、糖質は約4g。
これは、カロリーや糖質がやや高めのバナナとほぼ同じなので、犬にたくさん食べさせることは控えましょう。
アケビの種は除去する
アケビの果肉にくっついている種に毒性はないものの、周辺には苦味があります。
また、種ごと食べると消化不良を起こしやすくなるので、愛犬ちゃんにアケビの果肉を食べさせる場合は、種をしっかりと除去しておきましょう。
アケビの果皮は生で食べさせない
アケビの果皮は苦味(アク)が強いので、炒めたり揚げたりしてから犬に食べさせましょう。ただし、カロリーコントロールが必要なワンちゃんには、揚げ物はオススメしません。
アクの抜き方は、ある程度の大きさにカットした果皮を水に一晩浸します。さらに水から茹でて、5分ほど沸騰させ続けるとアクが抜けます。
茹でたお湯にはアクが含まれているので捨ててくださいね。
塩でもんでアクを抜くやり方もありますが、犬に食べさせるには、茹でるほうがよいでしょう。
アケビには犬の健康によい栄養成分が含まれていますが、甘い果肉はカロリーや糖質が高く、種もたくさん入っています。
犬にもアケビを食べさせるなら、果肉の種は食べさせないこと、果皮はアク抜きと加熱することを守り、おすそ分け程度に留めましょう。