犬にリンゴジュースを飲ませても大丈夫!
結論から先にお伝えすると、犬にリンゴジュースを飲ませても大丈夫です。
リンゴも犬が安心して食べられる果物なので、リンゴだけを原料にしたリンゴジュースなら問題ありません。
リンゴジュースの原料であるリンゴには、「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」というイギリスのことわざがありますね。
リンゴを食べることで心筋梗塞や脳卒中のリスクが下がるともいわれ、様々な健康効果が期待されています。
だからといって、リンゴジュースを犬にたくさん飲ませるのは避けたいところです。
今回お話しするのは、以下の内容になります。
・リンゴジュースは製造方法で呼び方が違う
・リンゴとリンゴジュースに含まれる栄養素に違いはある?
・犬がリンゴジュースを飲んだ際に期待できる健康効果
・犬にリンゴジュースを飲ませる際の注意点
リンゴジュースは製造方法で呼び方が違う
リンゴの果汁を原料にしたリンゴジュースですが、製造方法の違いによって「濃縮還元」「ストレート」と呼び方が異なることはご存知でしょうか。
・濃縮還元果汁:果汁を加熱して水分を飛ばして再度水分を加える。香りが失われやすいため香料を加えることが多い
・ストレート果汁:果汁を絞るだけで水分は飛ばしていない。加糖されていないものの、変色予防に酸化防止剤(ビタミンC)を添加するケースが多く、やや酸味が残る
ほかにも、自宅で手作りするリンゴジュースがありますし、犬用として販売されるリンゴジュースも見かけます。
リンゴとリンゴジュースに含まれる栄養素に違いはある?
リンゴと比べると、リンゴジュースに含まれるカロリーや栄養素の量は全体的に減少しますが、一部増える栄養素があるので紹介します。
※リンゴジュース100ml(105g)と、リンゴ105gで比較
中ぐらいの大きさのりんご約1/3が、約105gに相当
カロリー
リンゴ(皮むき・生):60kcal
リンゴジュース(濃縮):45kcal
リンゴジュース(ストレート):46kcal
意外かもしれませんが、カロリー面ではリンゴよりもリンゴジュースのほうが25%ほど低くなります。
ビタミンC
リンゴ(皮むき・生):4mg
リンゴジュース(濃縮):1mg
リンゴジュース(ストレート):3mg
ビタミンCを比較してみるとリンゴのほうが多く、濃縮還元リンゴジュースの約4倍ということがわかります。
「リンゴは果物なのでビタミンCが多いのでは?」と思うかもしれませんが、柑橘類ほど豊富に含んでいません。
また、柑橘類よりもピーマンやキャベツなどの野菜のほうが、ビタミンCを桁違いに多く含んでいるんです!
愛犬ちゃんに、ビタミンCの抗酸化作用による老化予防などを期待するなら、リンゴジュースよりも野菜を活用したほうが効果的です。
マンガン
リンゴ(皮むき・生):0.02mg
リンゴジュース(濃縮):0.04mg
リンゴジュース(ストレート):0.03mg
マンガンは、リンゴジュースのほうが1.5~2倍ほど多く含有しています。
マンガンは犬にも必要なミネラルで、関節軟骨の形成、神経機能や細胞のミトコンドリアを正常に機能させるために必要です。
パントテン酸
リンゴ(皮むき・生):0.03mg
リンゴジュース(濃縮):0.12mg
リンゴジュース(ストレート):0.22mg
パントテン酸も、濃縮タイプのリンゴジュースは4倍、ストレートタイプでは7倍ほど多くなっています。
パントテン酸は、糖や脂質、たんぱく質などエネルギー代謝に欠かせないビタミンで、正常な皮膚のバリア機能に役立ちます。
食物繊維
リンゴ約1/3(105g)には食物繊維が1.5g含まれているものの、市販のリンゴジュースにはほとんど含まれていません。
ここまでみてきた栄養素的にはリンゴのほうが優位ですが、リンゴジュースは愛犬ちゃんの食欲がないときや水分補給としても使えます。
「でも、リンゴよりも栄養が少ないなら、リンゴジュースを犬に飲ませてもムダかな…」とガッカリされた飼い主様もいらっしゃるかもしれませんね。
ご安心ください。リンゴには栄養素のほかにも体によい働きをもつ成分が含まれているのです。
次の項目では、リンゴに含まれる「機能性成分」に注目し、犬に期待できる健康効果を解説します。
犬がリンゴジュースを飲んだ際に期待できる健康効果
リンゴには栄養素以外にも、機能性成分と呼ばれるポリフェノールやクエン酸、リンゴ酸などが含まれています。
ポリフェノール
リンゴジュースには複数のポリフェノールが含まれており、体内で過剰に発生した活性酸素を除去する抗酸化作用をもっています。
抗酸化作用に期待される効果として、免疫力の向上やアレルギーの改善、ガン予防などが知られています。
活性酸素は激しい運動や紫外線、加齢などによって発生しますが、リンゴジュースを犬に飲ませることで若干のサポートとなるでしょう。
クエン酸
リンゴジュースにはクエン酸が含まれており、日常生活や運動した際に生じる一過性の身体的疲労感を軽減する機能をもつことが報告されています。
運動などによって体内に溜まる乳酸を効率よく排出する働きや、食欲増進、血液の酸化抑制、老化予防、皮膚の健康、夏バテ予防などに効果が期待されています。
リンゴ酸
リンゴジュースには、リンゴジュースから取り出されて命名されたリンゴ酸が含まれています。
リンゴ酸とクエン酸を一緒に摂ることでカルシウムの吸収を高めると考えられており、体内のエネルギー産生にも欠かせない成分です。
手作りフードの場合、カルシウムが不足しやすいといわれているので、ときどきリンゴジュースを取り入れてみるとよいでしょう。
犬にリンゴジュースを飲ませる際の注意点
犬にはストレートタイプのリンゴジュースがおすすめ
犬に市販のリンゴジュースを飲ませる場合、加糖されている濃縮還元果汁ではなく、果汁100%のストレート果汁がおすすめです。
自宅で作る場合は、ミキサーに水と2cm程度にカットしたリンゴを入れて撹拌します。
すぐに酸化するので早めに飲ませましょう。
リンゴ酢は飲ませてもよい?
リンゴのみを原料としたリンゴ酢なら、犬に飲ませても大丈夫です。
そのまま与えると刺激が強いため、水やリンゴジュースで薄めるか、手作りリンゴジュースに少量加えるなどして活用しましょう。
アレルギーに注意
ヨモギやブタクサ、シラカバ、スギ、ニンジンなどにアレルギー反応を示す犬の場合、リンゴジュースでアレルギーを起こす可能性があります。
とくにアレルギー体質でない場合でも、初めてリンゴジュースを飲ませる際は舐めさせる程度に留め、体調に異変がないかを見守ってください。
飲ませすぎに注意
加糖していないリンゴジュースであっても、カロリーや糖分の摂りすぎで肥満になる可能性があるため、犬にたくさん飲ませないようにしましょう。
犬も甘いものを好む習性があるので、リンゴジュースは水で薄めてから飲ませたほうが安心です。
犬にリンゴジュースを飲ませてもよいのか? まとめ
犬にリンゴジュースを飲ませても大丈夫です。
リンゴジュースを栄養素面からみるとリンゴよりも劣りますが、水分補給や食欲増進にも役立ちます。
また、機能性成分のポリフェノールやクエン酸、リンゴ酸などの働きによる抗酸化作用や抗アレルギー、疲労回復なども期待できます。
リンゴジュースの甘味がクセになったり、糖分を摂りすぎて肥満になったりする可能性もあるので、3~5倍程度の水で薄めてから愛犬ちゃんに飲ませるのがおすすめです。
市販のジュースの場合は濃縮還元タイプではなく、果汁100%のストレートタイプを選びましょう。