犬にタケノコを食べさせないほうがよい
春の訪れを知らせてくれるタケノコは、人にとっては美味しい食材です。タケノコが入った混ぜご飯など、「おすそ分け程度なら犬に食べさせてもよいのかしら?」と不安に思ったことはありませんか?
タケノコは中毒を起こす成分は含んでいません。仮に犬がタケノコを食べたとしても中毒死することはありませんので慌てなくて大丈夫です。
とは言え、タケノコは犬に積極的に食べさせないほうがよい食材の1つであることは知っておいてください。
今回は、なぜ犬にタケノコがお勧めできないのか、犬に食べさせる場合はどんな点に注意すればよいのかについてお伝えします。
犬にタケノコをお勧めできない理由とは?
タケノコは食物繊維の塊
犬にタケノコをお勧めできない大きな理由は、“食物繊維”が多いことです。
タケノコ1口分(約10g)には、食物繊維が約0.3g含まれています。
数字だけではわかりにくいので、食物繊維が多めの食品10gと比べてみましょう。
・キャベツの約1.5倍
・パイナップルの約2.5倍
・コンニャクの約8割
比較してみると、やはりタケノコの食物繊維が多いことがわかりますね。
食物繊維は腸内を刺激して老廃物を排泄しやすくする働きを持っているので、ワンちゃんの便秘解消には役立ちますが、たくさん摂り過ぎると消化不良を起こしやすくなるのです。
タケノコはアクの強い食品
タケノコは、掘られてから時間が経つほどアクが強くなります。タケノコ狩りなどで掘りたてのもの以外は、必ずアク抜きしてからでないと食べられませんよね。
コンニャクやタケノコといったアクの強い食品を犬が食べると、下痢をすることがあるので注意が必要です。
タケノコはシュウ酸を含む食品
タケノコには、シュウ酸結石の原因物質となる“シュウ酸”が含まれています。体重の軽いワンちゃんにたくさん食べさせ続けると、ダイレクトに影響が出る可能性もあります。
すでに尿路結石を抱えているワンちゃんには、タケノコを食べさせないでくださいね。
タケノコの成分でアレルギーを起こす可能性も
タケノコに含まれる“アセチルコリン”や“ノイリン”という物質には、人間の体に胃痛や喉のかゆみといったアレルギー症状を起こすことが知られています。
犬にタケノコを食べさせてアレルギーにならない保証はありませんので、特に免疫が低下している際や、内臓にトラブルを抱えているワンちゃんには、食べさせないほうがよいでしょう。
タケノコに含まれる成分のよい働き
タケノコが犬に与える悪い影響ばかりお伝えしましたが、タケノコに含まれる成分のよい働きも紹介しておきますね。
タケノコには、便通をよくする食物繊維のほか、塩分を排泄するカリウムや、ストレスを軽減し自律神経のバランスをとるチロシンというアミノ酸が含まれています。
ほかにも、老化防止にかかわるグルタミン酸や、疲労回復によいアスパラギン酸といったアミノ酸を含んでいるのが特徴です。
ただし、タケノコに含まれるカリウムはキャベツの2.5倍以上なので、カリウム制限のあるワンちゃんには食べさせないでください。
犬にタケノコを食べさせる際の注意点
犬の手作りご飯では、ときどきタケノコを使ったレシピを見かけますが、あくまでもワンちゃんの健康状態がよいことを前提に食べさせてください。
鮮度のよいタケノコを選ぶ
タケノコの根元に赤いブツブツが出ていたり、外皮が黒くなったりしているのは鮮度が落ちてアクが強くなっている証拠です。
できるだけ外皮が白っぽくて赤いブツブツがないタケノコを選びましょう。
必ず茹でてアク抜きしてから食べさせる
タケノコに含まれるシュウ酸は、水に溶けやすい性質を持っています。アクやシュウ酸、アセチルコリンといったアクを抜いてから調理してください。
食物繊維を断ち切る
食物繊維の強いタケノコは、必ず細かく切ってから食べさせましょう。ゴロンとした固まりのまま与えると消化不良を起こすばかりか、喉に詰まらせてしまうことがあります。
食べさせ過ぎない
タケノコのよい成分を摂らせたいからと、たくさん食べさせ過ぎないようにしましょう。
万が一、目の届かないところでタケノコをたくさん食べてしまったら、念のため動物病院に相談してください。
オモチャ代わりに与えない
タケノコを掘っている間の時間潰しにと、ワンちゃんにタケノコをオモチャ代わりに与えているケースをよく耳にしますが、決して与えないでください。
生のままガリガリする感触が楽しくて、あっという間に1本食べてしまいます。外側の毛羽だった固い皮を喉に詰まらせる可能性もありますし、アクや食物繊維をそのまま食べることは危険を伴います。
犬にわざわざタケノコを食べさせる必要はない
ドッグフードには必要な食物繊維が含まれているので、さらにタケノコを追加する必要性はまったくありません。摂取過多になり下痢することがあります。
犬がタケノコを食べても大丈夫とはいえ、「アク抜き、細かく刻む、少量、頻繁に食べさせない」点だけは守ってくださいね。