犬が吠えることは飼い主様にとって悩みの種の1つです。夜も寝れないくらいお悩みになっている飼い主様もいるのではないでしょうか?「近所迷惑だから、手放そうか。」そんな、会話もよく耳にします。子犬のしつけは生後6ヶ月くらいが勝負です。しかし、大人になってからでも十分しつけは可能です。しつけができないのは、「愛犬が賢くないから」ということはありません。しつけのやり方を知らない飼い主様にも原因はあります。犬の吠え癖の直し方にはさまざまな意見があります。ちょっと、興味深い文献を見つけましたので、参考にしてくださいね。これで、100%直るかどうかというのではなくて、あくまで、参考までにご覧ください。犬は決して無駄には吠えません。吠えるには理由が必ずあります。(3分から5分くらいで読めると思います。ぜひ、お読みくださいね!)
なぜ犬は無駄吠えをするのか?
(カナダの心理学教授、スタンレー コレンの著作物より抜粋して引用)
犬が吠えるという行為は人間で言えば、「話す」ということです。では、犬に話(吠えること)を「やめさせる」にはどうしたら良いのでしょうか?
ある時、犬の服従訓練の初級クラスで、ボーダーコリーが、部屋の向こう側に並んでいる他の犬たちに向かって吠え始めたことがありました。私(スタンレーコレン)は犬が吠えてもそれほど気にしません。だが、彼(ボーダーコリー)の吠え方は激しく、狭い部屋の中ではいかにもうるさかったのです。ボーダーコリーの飼い主様は、「だめ、やめなさい!」と必死に叫んでいました。あいにくそれは、逆効果でした。
これは、飼い主が犬語の基本をわかっていない例です。犬に向かって大声で「だめ!」「静かに!」「吠えないで!」などと叫ぶと、犬には吠え声のように聞こえてしまいます。ちょっと考えてみましょう。犬は何か問題を感じ取り、吠えて警告を発します。そこへ(群れのリーダーであるはずの)あなたがやってきて、同じように吠え始める。つまり、犬から見れば、あなたもやはり警告を発したほうがいいと認めたことになあります。ボーダーコリーもそのように状況を判断し、狂ったように吠え出したのです。
騒ぎは大きくなるいっぽうで、クラスに居合わせた人たちは、どうしたものかと顔を見合わせるばかりでした。このとき指導員のジョージが収拾に乗り出しました。彼は犬の習性について少しばかり、知識があるらしく、騒ぎをおさえるために高圧的な威嚇行動をとることにしたのです。そして、犬を静かにさせるために、責めるような目つきで犬をじっとにらみつけました。ボーダーコリーの耳は服従を示してうしろに伏せられ、体を低くして相手の威嚇を認めました。吠え声はやみました。しかし静けさは長く続きませんでした。ジョージが目をそらしたとたん、ボーダーコリーがまた吠え始めたのです。ジョージは腹を立てたようでした。彼は吠え声を意思の伝達と考えるかわりに、訓練と矯正が必要な状況として捉えたのでした。
ジョージは今度は犬を自分の左横に座らせました。ボーダーコリーが吠えた瞬間、ジョージの右手がすばやくボーダーコリーの顎の下を打ち、パシッという音とともに一瞬犬の口が閉じました。この場面は何度も繰り返されました。吠える、パシッ、静寂・・・。吠える、パシッ、静寂。ボーダーコリーが再び静かになったとき、ジョージは指導員の席に戻りました。もちろん、ジョージが遠ざかったとたんに、ボーダーコリーは吠え始めました。
犬が無駄吠えするのを防止する方法
犬に吠えるのをやめさせる方法は、これまで数々試されてきました。私が見た例では、水鉄砲、ポンプ式のボトル、レモンジュース、スプレー、口輪、粘着テープ、丸めた雑誌、ガラガラ音を立てる缶、電気ショックをあたえる首輪などが使われました。なかには有効なものもありますが、大半は効果がありません。効き目がある場合も残酷になりがちで、犬と飼い主の間の関係が損なわれかねません。犬が吠えるのは、群れにかかわる事柄について伝えるためです。危険を感じ取って、仲間に警告を発する場合も、群れの領域に何かが侵入したのを察知し、家を守らねばと吠える場合もあります。原因は何であれ、犬は愛するものたちのために反応しているのです。家から煙が出ているのを見つけて、非難するように友人に忠告したとたん、「うるさい」といきなり顔を殴られるようなもです。そのような、乱暴な行為は、その後の関係に傷をつけます。しかも暴力的な矯正は問題解決にしかなりません。だが、犬の意思伝達パターンを理解していれば、問題は容易に解決できます。
オオカミと吠え声
あまり吠え声を立てない野生の犬族も、子供のときは吠えます。安全な巣穴のあたりでは、吠え声を立ててもそれほど害はありません。だが、子犬が成長して大人たちの狩に同行するようになると、吠え声は逆効果になります。間の悪いときに若いオオカミが吠えると、獲物に悟られてしまいます。また、オオカミの味を覚えた大型哺乳動物の注意をひきつけるかもしれなません。それを食い止めるために、進化は簡単な意思伝達信号を発達させました。その第一の目的は音を出さないことだから、その信号には大きな音は含まれません。オオカミは別のオオカミを黙らせるとき、吠え声は使わないのです。また、その信号には声を立てた個体に対する直接的な攻撃も含まれません。吠えている個体に噛み付けば、痛がって悲鳴をあげたり、うなったり、攻撃に反応して走り出したりするでしょう。そんな騒がしい音や気配は、吠え声と同じほど他の動物の注意を引いてしまいます。そこで、吠え声をやめさせるときには、自然に音や肉体的な攻撃をともなわない方法がとられるようになったのです。
野生の犬族が吠えるのを防止する方法
吠えるのをやめさせるときに野生の犬族が取る方法は、いたって単純です。黙れという信号を発するのは、群れのリーダー、子犬の母親、あるいは群れでその個体よりも明らかに順位の高い犬です。優位の犬は吠えている子犬の鼻面を、牙を立てないようにしてくわえ、低くてかすれた短いうなり声をあげます。低いうなり声は遠くまでは届かず、しかも一瞬で終わります。相手は鼻面をくわえられても痛みは感じないので、悲鳴をあげたり逃げ出そうとしたりすることはありません。これでたいていすぐに静かになります。下記の図をご覧ください。
人間もこの行動を真似て、簡単に犬を黙らせることができます。犬をあなたの左側に座らせ、犬の背中のところであなたの左指を首輪の下に滑り込ませます。左手で首輪をつかみながら、右手で犬の鼻面を包むようにして押し下げます。落ち着いた事務的な声で、「静かに」といいます。必要なときは、この行動を繰り返します。犬種によっては2回から10回程度の繰り返しで「静かに」という命令を黙ることと結び付けられるようになります。
このやり方は、群れのリーダーが騒がしい子犬や若いメンバーを黙らせる方法をなぞっています。左手で首輪をつかむのは、たんに犬の頭を固定させるためです。右手はリーダーが子犬の鼻面をくわえるのと同じ働きをします。落ち着いた声で「静かに」というのは、低くてかすれた短いうなり声を真似たものです。
犬に静かにと言いましょう
ここで、服従訓練クラスで吠えていたボーダーコリーの話を戻します。私は指導員のジョージに合図を送り、犬を黙らせてみることにしました。そばにいってみると、ボーダーコリーは完全に歯止めのきかない吠え方モードに入っていました。私は前述の方法を使い、低い声で「静かに」と言いました。この行動を3回繰り返しただけで、ボーダーコリーはそれ以上吠えなくなりました。あとで飼い主から聞いたところでは、1週間のうちに、冷静な声で「静かに」と言っただけでボーダーコリーは吠えるのをやめるようになったといいます。
だが、吠えさせるのをやめさせるこの方法は、服従訓練クラスや公共の場所などで、吠え声が迷惑になる場合に限って使うように心がけでください。私達が吠える犬を選択交配してきたのを、忘れてはいけません。よそ者の接近に気づいて、犬が警告の吠え声をあげたときは、例えそれが窓の外に猫が見えたからであっても、黙らせないほうがいいです。吠えた原因が分からないときは、ただ犬をそばに呼んで、軽くなでたりさすったりしてください。犬は吠えることで、何千年も前に私達の先祖から課された仕事を実行しているのです。
上記の方法を試してみた飼い主様よりコメントをいただきました!
2歳のダックスを飼ってますが、最近無駄吠えに困っていました。こちらのホームページで吠えるのをやめさせる記事を見て、試したところ効果 テキメンでした。精神的にいい関係が保てるので、本当に良かったです。ありがとうございます。(北海道 ペンネーム かに君の飼い主様)
ドッグフードを変更すると、吠える行動が少なくなるケースもあります
人間でも、食生活が不規則になると、栄養が足りなくなりイライラしたりすることもあると思います。犬も同様です。品質の悪いドッグフードをずっと食べていると、日常的に栄養不足になり、イライラしたり、攻撃的になったり、落ち着きがなくなったりします。愛犬が吠えて困っている飼い主様は、ぜひ一度、栄養価の高いドッグフードを食べさせて様子を見てみてくださいね。ドッグフードを改善して吠える行動が少なくなったケースを私は多く見てきました。体の中の栄養が満たされ、気持ちが穏やかになり、吠える行動などが少なることを祈っています!