犬にニンジンを食べさせても大丈夫!
「ニンジンを食べる動物は?」と聞かれたら、ウサギや馬といった草食動物が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。
犬は人間と暮らす中で、肉食から雑食に適応した動物なので、肉も野菜も食べられます。
ですから、犬にニンジンを食べさせても大丈夫です。中毒を起こすような成分も入っていません。
今回は、ニンジンの栄養やどんな健康効果が期待できるのか、犬に食べさせる際の注意点についてお話ししていきます。
ニンジンの栄養が犬にもたらす健康効果
皮膚や血管、目の健康を保つ
ニンジンには、脂溶性ビタミンのカロテン(体内でビタミンAに変換される)が多く含まれているのが特徴です。
ビタミンAには、活性酸素を除去する力(抗酸化作用)があるため、細胞や遺伝子が傷つくのを防ぎます。犬の皮膚や血管、粘膜の健康を保つのに役立つ栄養素です。
さらに、ニンジンの赤い色素のリコピンも強い抗酸化作用を発揮して、犬の老化スピードを緩やかにする効果が期待できます。
また、色素のルテインも抗酸化作用を持っており、紫外線から目を守る働きがあります。被毛が白系のワンちゃんや、遺伝的に白内障になりやすい犬種(※)に有益です。
※白内障になりやすい犬種(若齢年性白内障)
トイ・プードル、ビーグル、ビション・フリーゼ、パピヨン、スタッフォードシャー・ブル・テリア、ワイアー・フォックス・テリア、ダルメシアン、ビアデッド・コリー、チン、グレート・デーン、シベリアン・ハスキー、アフガン・ハウンドなど。
夏バテ予防に
ミネラル類では、カリウムが多く含まれています。カリウムは、体内の余分な塩分を排出し、筋肉を正常に働かせるのに役立ちます。また、夏バテの予防や、下痢が続いたときのカリウム補給にも有益です。
便秘を改善
ニンジンには、サツマイモと同じぐらいの食物繊維が含まれています。お腹の調子を整える働きがあるので、犬が便秘気味のときにニンジンが役立ちます。
犬にニンジンを食べさせる際の注意点
病気がある場合は獣医さんに相談を
ニンジンに含まれるカリウムの量は、健康なワンちゃんであれば心配するほどではありませんが、レタスの約1.5倍、スイカの約2.5倍に相当します。カリウム制限を受けているワンちゃんは、必ず獣医さんに相談してください。
できれば加熱する
生でも特に悪い成分はありませんが、初めて食べさせる場合や、シニア犬には加熱してから与えたほうがよいでしょう。また、ニンジンのカロテンは脂溶性ビタミンなので、油で炒めると吸収率が高まります。
毎日継続して食べさせない
ニンジンに含まれるカロテンは、肝臓に蓄積できることから、毎日継続して食べさせると過剰症になりかねません。基本の食事にときどき加える程度に留めましょう。
大量に食べさせない
ニンジンは食物繊維が多いため、大量に食べさせると下痢や消化不良を起こすことがあります。体重5キロのワンちゃんなら、1センチの輪切りにしたニンジン1切れ程度を目安に食べさせましょう。
誤飲に注意!
生のニンジンを、おやつ代わりにボリボリ食べるワンちゃんもいると思います。これまでハプニングがなくても、シニアに差し掛かったワンちゃんは注意してください。
シニア犬は半年前の状態と同じではありません。急激に飲み込む力が衰えていることもありますので、生のニンジンを喉に詰まらせてしまう可能性も。
油をひいたフライパンの上で、ニンジンをおろし金で少量すって炒めてみてください。シニアのワンちゃんが食べやすくなるだけでなく吸収率もアップし、誤飲の危険度が下がります。
ニンジンの特徴を知って犬の健康に役立てよう!
ニンジンには、皮膚や血管の健康をサポートするカロテンや、白内障を予防する色素のリコピンやルテインが含まれています。
ただし、過剰症のリスクがあるカロテンを多く含むため、継続してたくさん食べさせ過ぎてはいけません。
また、カリウムも含んでいるので、健康状態がよくないワンちゃんの場合は、必ず獣医さんに相談してくださいね。
いつものドッグフードに炒めたニンジンを少量混ぜたり、大好きなお肉と一緒に混ぜたりすれば、食欲不振に陥りやすい夏も元気に乗り越えられますよ。