犬にきゅうりを食べさせても大丈夫!
私たちの食卓に頻繁に登場するきゅうりは、夏に旬を迎える夏野菜の1つです。
「きゅうりは水分ばかりで栄養がないのでは?」と思われるかもしれません。
確かにきゅうりの水分は95.4%と高いですが、犬の健康によい栄養成分も入っているので、食べさせても大丈夫な野菜です。
しかし、犬にきゅうりを食べさせる前に知っておきたい注意点もいくつかあります。
今回は、きゅうりの栄養やどんな健康効果があるのか、犬に食べさせる際の注意点もお伝えします。
きゅうりの栄養成分が犬にもたらす健康効果
きゅうりのMサイズ1本(約100g)のカロリーは約14kcalと、低カロリーなのが特徴です。これは、夏野菜のトマト半分と同じくらいのカロリーになります。
きゅうりはカロリーの低さから栄養がない、と思われてきたようですが、実際には、ビタミンKやモリブデンを始めとする、ほとんどのビタミン・ミネラルを含んでいるのです。
ほかにも、ビタミンCはトマト半分と同程度、カルシウムはトマト約2個分に相当する量を含んでいます。
さらに、あまり知られていないですが、“スーパーアミノ酸”というパワフルな別名を持つ「シトルリン」、という栄養成分も含有しているのです。
きゅうりの栄養成分の中から、「ビタミンK」と「モリブデン」、「シトルリン」に注目し、それぞれ犬にどんな健康効果が期待できるのか見ていきましょう。
ビタミンK
きゅうり1本(約100g)には、約34㎍のビタミンKが含まれています。この量は、トマト4個分に相当し、レタスの葉1枚(約30g)の約4倍量です。
ビタミンKを多く含む食品として有名な、納豆(1パック/約45g)の含有量270㎍には及びませんが、野菜の中では比較的多いことがわかります。
ビタミンKは、血液を凝固させるタンパク質の一種である、“血液凝固因子”を作る際にかかわるビタミンです。ほかにも、カルシウムが骨に定着するのを助ける働きも持っています。
ビタミンKが不足すると、ケガや体内で出血した際に血が止まりにくくなったり、すぐに鼻血が出たりします。
普通に食事が摂れていれば不足する心配はありませんが、食事量が極端に少ない場合は欠乏することがあります。
また、ワンちゃんが抗生物質を長期間に渡り摂取していると、ビタミンKが欠乏することがあるので注意しましょう。
モリブデン
きゅうり1本(約100g)には、約4㎍のモリブデンが含まれています。この量は、トマト1個分に相当します。ちなみに、レタスの葉にはモリブデンは含まれていません。
モリブデンは、鉄の代謝や銅の排泄にかかわるミネラルで、貧血や食道ガンの予防が期待されているミネラルです。
さらに、糖質や脂質、プリン体の代謝もサポートしているので、肥満予防も期待できます。
モリブデンが欠乏すると、疲れやすくなったり尿酸代謝障害を起こしたり、貧血になったりします。
上質なドッグフードやバランスのよい食事を食べているワンちゃんなら、不足することはありません。
シトルリン
シトルリンは、きゅうりやスイカといったウリ科の植物に含まれているアミノ酸の一種で、特に皮の部分に多く含まれています。
きゅうり1本(約100g)には、約10mgのシトルリンが含まれています。
この量は、シトルリンを多く含むスイカ(180mg/100g)にはかないませんが、皮の部分に多く含まれていることを考えると、きゅうりはシトルリンが効率よく摂れる野菜です。
シトルリンには利尿作用や血管拡張作用があるため、むくみ解消や血流改善、冷え解消、疲労回復が期待されています。
血液の流れがスムーズであれば、酸素や栄養を体の隅々にまで届けることができ、代謝がよくなります。
ほかにも、肌の保湿や筋肉増強、記憶力の向上にも関係していることから、シトルリンはワンちゃんの若々しさや健康を力強くサポートする成分と言えるでしょう。
犬にきゅうりを食べさせる際の注意点
犬にきゅうりを食べさせる際は、次のような点に注意しましょう。
きゅうりの毒性成分に注意
大変まれではありますが、ウリ科の植物が含む毒性成分“ククルビタシン”で食中毒を起こすケースがあります。
青臭さのするククルビタシンはきゅうりのへた周辺に含まれていますが、この苦味が異常に強いきゅうりが流通することがあるのです。
苦すぎるのを我慢して食べてしまうと、数時間内に唇の痺れや吐き気、下痢といった症状が現れます。
きゅうりのへたを除去すると同時に、ワンちゃんに食べさせる前に飼主様が味を確認しておきましょう。
窒息に注意
きゅうりをワンちゃんに丸ごと1本与えることは危険です。かじった一口が大きければ窒息してしまうことも。
また、薄い輪切りもワンちゃんの口腔内に貼り付いてしまう可能性があるので注意しましょう。
ワンちゃんの体型や食べ癖に合わせて細かくカットするか、すり潰してから食べさせるのが安心です。
ワンちゃんの好みも大切に!
きゅうりの持つ栄養成分を効果的に摂るためには、加熱するよりも生のまま食べさせるのがおすすめです。
暑い季節には水分補給にもなるきゅうりですが、嫌がるワンちゃんに無理矢理食べさせる必要はありません。
ワンちゃんがきゅうりを好んで食べるようであれば、健康維持に活用してみてください。