犬にレタスを食べさせても大丈夫!
1年中手に入るレタスは、シャキシャキっとした食感が美味しいですよね。基本的に中毒を起こす心配もありませんので、犬にレタスを食べさせても大丈夫です。
レタスの仲間にはサニーレタスがありますが、その違いやレタスの健康効果、食べさせる際の注意点などについてお話ししていきます。
レタスの特徴とサニーレタスとの違い
サラダの材料として重宝するレタスですが、96%程度は水分です。また、水耕栽培と土耕栽培という作られ方によって栄養価が違います。
畑の土で作られたレタスのほうが栄養価は高いのでは?と思うかもしれませんが、意外にも水耕栽培のほうが全体的にビタミンやミネラルが多く含まれているのです。畑のように雑草がない分、肥料の栄養を吸収しやすいのでしょう。
仲間のサニーレタスと比較した場合は、驚くほどレタスの栄養価が高いという訳ではありません。違いの一例を挙げてみます。
まず、レタスはカロテンが少ない「淡色野菜」で、サニーレタスは比較的多く含む「緑黄色野菜」です。淡色と緑黄色の違いはカロテン(※)の含有量で分けられています。
水耕栽培のレタスに含まれるカロテンの量をサニーレタスと比べると約1/10になります。カリウムとカルシウムは約1/2、鉄は約1/6、ビタミンCは約1/3、食物繊維は約1/2。
全般的な栄養価ではサニーレタスに負けていますが、レタスは苦味が少ないことから、ワンちゃんには食べさせやすい野菜と言えるでしょう。
(※)カロテンは黄や赤、赤紫などの色素のこと。主に植物性食品に含まれており、体内でビタミンAに変換されて作用する。可食部100g中、600㎍以上カロテンを含む野菜を緑黄色野菜、それ以下を淡色野菜と分類する。
レタスの栄養素と健康効果
レタスには、ほとんどのビタミンやミネラル、食物繊維が含まれていますが、代表的な栄養素は「ビタミンK」と「葉酸」です。
レタスの代表的な栄養素が、犬にどんな健康効果をもたらすのか見ていきましょう。
ビタミンK
ビタミンKは、ケガをしたときや体内で出血したときに血液を止める血液凝固成分です。
ほかにも、ビタミンKにはカルシウムを効果的に骨に取り込んで定着させ、骨の質を高める働きを持っています。
犬の腸内細菌はビタミンKを合成することができますが、それだけでは不足することが多いため、食事で補う必要があります。また、病気や高齢で食事量が激減したときなどには欠乏し、微出血が続くと貧血になることがあります。
※土耕栽培よりも水耕栽培のレタスのほうが、約2倍のビタミンKを含んでいます。
葉酸
葉酸には、赤血球を造る働きや鉄の吸収を高める働きがあります。ほかにも、DNAの形成や胎児の発育をサポートする大切な役割も担っています。
葉酸も腸内細菌の働きで合成されますが、必要な量が造られているかまではわかっていませんので、食事で補う必要があります。
質の悪いドッグフードや食欲低下などで葉酸が不足すると、貧血や口内炎の一因となります。また、妊娠中の母犬が欠乏していた場合は、胎児の口蓋裂や口唇裂、脊椎披裂といった奇形のリスクが高まると考えられています。
※ビタミンKとは逆で、水耕栽培よりも土耕栽培のレタスのほうが、約2倍弱の葉酸を含んでいます。
犬にレタスを食べさせる際の注意点
犬にレタスを食べさせる際は、次のような点に注意しましょう。
レタスを茹でるなら茹で汁ごと
ビタミンKは脂溶性ビタミンといって、比較的加熱に強いビタミンです。しかし、水溶性ビタミンの葉酸は加熱に弱く、茹でると半分程度が失われてしまいます。
レタスを茹でる際は短時間とし、茹で汁も一緒に与えて効果的に栄養素を摂らせましょう。
レタスで便通に変化があることも
レタスに含まれる食物繊維の総量は、サニーレタスの約半分、キャベツと比べると約2/3程度ですが、そのほとんどが消化されにくく腸を刺激する不溶性食物繊維です。
老廃物を排出し便通を促進する効果はありますが、犬にたくさん食べさせ過ぎるとお腹が緩くなったり、逆に腸内の水分を取られ過ぎてコロコロウンチになったりすることがあります。
犬にレタスを食べさせるなら、細かく切ってあげましょう。
レタスでアレルギーを起こすことは少ない
犬がレタスを食べてアレルギーを起こすことは少ないものの、初めて食べさせる際は少量に留め、その後の様子を観察しておきましょう。
万が一、目が充血したり体を痒がったりしたら、レタスの何らかの成分でアレルギーを起こしているかもしれませんので、獣医さんに診てもらったほうが安心です。
レタスに含まれるキシリトールは大丈夫!
レタスにはイチゴ同様にキシリトールが含まれています。だからと言って、レタスを食べさせてはいけない、ということにはつながりません。
確かに、人工甘味料のキシリトール配合ガムなど、少量で高含有量の食べ物を犬が食べてしまったときは中毒を起こすことがわかっています。
しかし、体重1キロのワンちゃんがキシリトール中毒を起こすとすれば、レタスを6個以上も食べなければなりません。
さすがにこの量は現実的ではないので、犬が少量のレタスを食べてもキシリトール中毒や悪影響はないと考えるほうがよいでしょう。
レタスは水分を多く含み、体温を下げる野菜です。ワンちゃんがレタスを好むようなら、夏場の水分補給や栄養補給に食べさせてみてはいかがでしょうか。