犬にライチを食べさせても大丈夫だが注意も必要
ライチは見た目こそゴツゴツですが、皮を剥けばジューシーで爽やかな甘さの白い果肉が出てきますよね。
南国フルーツとして知られるライチの主な生産地は、中国やインド、アメリカなどですが、実は日本の宮崎県でも生産されているんですよ。
しかし、国内産ライチの流通量はわずか1%と少ないので、多くのご家庭では冷凍の輸入ライチを召しあがっていることになります。
結論を先にお伝えすると、犬にライチの果肉部を食べさせても大丈夫です。
しかし、犬が欲しがるだけ与えることや、種が入っている状態で食べさせるのは危険です。
今回は、犬にライチを食べさせることで期待できる健康効果や注意点についてお話しします。
ライチに含まれる栄養成分と犬に期待できる健康効果
ライチの代表的な栄養成分として、葉酸、ビタミンC、カリウムといったビタミンやミネラルがありますが、ポリフェノールの1種のロイコシアニジンという成分も入っています。
それぞれ詳しくみていきましょう。
葉酸で貧血予防&胎児の成長をサポート
ライチには、ビタミンB群の1種の葉酸が含まれています。
葉酸には、赤血球を作る働きや胎児の正常な発育をサポートする働きがあります。
葉酸はビタミンB12とともに赤血球の産生にかかわるため、造血ビタミンと呼ばれることも。
ヒトでは妊活や妊娠中に欠かせない栄養素としても有名ですが、犬の場合も同様です。
葉酸は胎児の細胞分裂や成熟に大きくかかわっているため、妊娠中の犬が十分に摂取することで、口蓋裂や脊椎披裂などの奇形のリスクを減らせます。
ビタミンCで老化対策&免疫力アップ
ライチには、ビタミンCが含まれています。
ビタミンCは抗酸化作用を持つため、老化や運動による細胞への酸化ダメージを防ぎます。
犬は体内でビタミンCを産生できますが、シニア犬や激しい運動をする犬などは、産生量よりも多くのビタミンCを消耗している可能性も。
犬にビタミンCを補給することで酸化ストレスから守られ、老化予防対策や病気に対抗する免疫力の向上が期待できます。
さらに、ビタミンCはコラーゲンの生成を促すため、関節を傷めている犬に補給することで、関節炎などの改善も期待できるでしょう。
ポリフェノールの1種ロイコシアニジンで酸化抑制
ライチには、ポリフェノールの1種のロイコシアニジンという成分が含まれています。
ポリフェノールは自然界に5,000種類以上もあるといわれますが、その働きは抗酸化作用による活性酸素の無害化です。
ヒトにおいてはシミやしわといった老化による色素沈着予防や美白効果が確認され、ライチ果実抽出物は化粧品成分として有用であるという研究報告があります。
ロイコシアニジンと犬の関係性はわかりませんが、犬の皮膚老化予防や改善にも効果が期待できるかもしれませんね。
犬にライチを食べさせる際の注意点
ライチの植物性自然毒に注意
ライチの果肉や種には、ヒポグリシンという植物性自然毒が含まれています。
2013年、インド北部の子どもたちがライチを食したことで、脳炎で351人が死亡した事故が起きています。
事故の内容は、空腹を満たすために1日中ライチを食べ続けたところ、夜間に作られるべきグルコースが合成されなかったため、血糖値が低下して低血糖や脳炎を引き起こしたというもの。
米国疾病管理予防センター(CDC)の調査により、栄養失調の子どもが食べた場合、中毒性低血糖脳症を誘発することが明らかになりました。
2~10歳児に多くみられ、数時間から数日で頭痛や口の乾き、発汗、嘔吐、発作を生じ、最悪の場合は昏睡から死に至るとのこと。
2歳児という小さい子どもの体格を考えると、たとえ栄養を十分に摂っている犬だったとしても、ライチは少量に留めておく必要があると判断します。
犬がどのぐらいの摂取量で中毒を起こすかはわからないので、ライチを好きなだけ食べさせることや、種を食べさせることは絶対に避けてください。
未完熟のライチは犬にも食べさせない
ライチが未完熟だとどのような危険があるのかは不明ですが、おそらく自然毒を含むと思われます。
市販されている冷凍ライチや国内産ライチは完熟しているので心配ありませんが、ライチの木を栽培している場合は、犬が盗み食いしたりオモチャにしたりできないよう、適切に管理してください。
もちろん、飼い主様も完熟したライチを食べましょうね。
大人なら1日に7~10個程度、子どもなら1日に4~5個程度までが適量だといわれています。
犬にライチを何個まで食べさせてよいのか?
先にお伝えしたように、ライチには植物性自然毒が含まれています。
冷凍輸入される海外ライチ1個の平均的な重さは約15g。(皮と種を除去)
一方、宮崎県などで栽培される国内産ライチは、1個50g以上のものが多く出回っているので、皮と種を除去しても40g以上はあるでしょう。
小型犬であれば、皮と種を除去した完熟ライチ約15gを上限にしたほうが安全です。
海外産ライチなら1個以下、国内産ライチなら1/3以下程度を上限にしましょう。
犬にライチを食べさせてもよいのか?まとめ
ライチは、古くは楊貴妃も好んで食べていたといわれるほど、美容や老化予防によい果物です。
犬にライチを食べさせても大丈夫ですが、植物性自然毒を含んでいることを考えると、輸入ライチなら1個程度までに留めたほうがよいでしょう。
病気などで栄養不良がちの愛犬ちゃんであれば、安全を考えて食べさせないほうがよいと思います。