犬にみかんを食べさせても大丈夫だが注意も必要
犬にみかんを食べさせても大丈夫ですが、無理に食べさせる必要はありません。
今回は、みかんにはどんな栄養成分が含まれているのか、食べさせる際の注意点などについてお話しします。
みかんの栄養成分と犬に期待できる健康効果
みかんに含まれる栄養成分と、犬にはどのような健康効果が期待できるのか見ていきましょう。
みかんの特徴的な栄養素や成分として、「ビタミンC」「β-クリプトキサンチン」「ヘスペリジン」が挙げられます。
ビタミンCで免疫アップ
みかんはビタミンCを比較的多く含む柑橘類です。皮を剥いたみかん1個には、約30mgのビタミンCが含まれています。
ビタミンCは抗酸化力といって、過剰な活性酸素によって細胞が傷付かないようにする働きがあるため、老化防止効果や白内障予防などが期待できます。
私たち人間はビタミンCを合成できないため、食事から摂取する必要がありますが、犬は体内でビタミンCを合成することができます。
しかし、運動量が多い犬やシニア犬、ストレスが多くかかっている犬などは消耗が激しいため、合成するビタミンC量だけでは足らないことがあります。
ビタミンCは、犬の免疫アップやストレスに対抗する力を与えるので、愛犬ちゃんの状況に応じて補給させたいビタミンです。
ただし、みかんだけでむやみに補給することは避けてください。不足が心配な際は、まずは獣医に相談しましょう。
β-クリプトキサンチンの機能性も注目
みかんにはβ-クリプトキサンチンが大変豊富で、果実類の中では干し柿に次いで多いのが特徴です。
β-クリプトキサンチンはβ-カロテンの仲間で、体内でビタミンAに変換されて作用します。
みかんや赤ピーマン、トウガラシなどに含まれるカロテノイド(天然の色素成分)です。
よく、みかんを食べ過ぎると手が黄色くなったりしますが、これはβ-クリプトキサンチンが皮膚に到達しているからなんですよ。
β-クリプトキサンチンには、ビタミンAと同様に犬の粘膜や皮膚の健康維持や、活性酸素除去作用による老化防止効果が期待できます。
また、人レベルではありますが、β-クリプトキサンチン自体の機能性も近年注目されています。
脂肪細胞を減らす働きや脂肪細胞の肥大化の抑制、抗酸化作用による発ガン抑制作用などが研究によって認められています。
ヘスペリジンで毛細血管を強化
みかんには、ヘスペリジンというポリフェノールの一種が含まれています。ビタミンPとも呼ばれるビタミン様物質です。
実の部分には少なく、果皮や薄皮、すじ、袋に多く含まれています。
ヘスペリジンには、毛細血管を強くしたり、血流改善作用、抗アレルギー作用、リウマチ症状の改善作用などがあります。
しかし、犬がみかんのすじや袋を食べ過ぎると消化不良を起こすことがあるので、飼い主様の健康に役立ててください。
また、のちほど注意点として詳しくお話ししますが、果皮は犬に食べさせてはいけません。
犬にみかんを食べさせる際の注意点
みかんの果皮は食べさせない
みかんなどの柑橘類の果皮には、ソラレンという光毒性を持つ成分が入っています。
人間では、紫外線を吸収しやすくなり、シミなどの肌トラブルを起こすことがわかっているので、犬も日焼けしやすくなる可能性があります。
さらに、リモネンというリラックス効果を持つ反面、皮膚刺激や光毒性を持つ成分が含まれており、多くの動物が嫌います。
また、みかんも含めた果物の多くは農薬やワックスなどを使用しているため、犬だけでなく人間も食べないほうがよいでしょう。
消化不良に気を付けて
犬にとって、みかんの薄皮やすじだけでなく、粒々の果肉部分も消化しにくいため、消化不良による嘔吐や下痢をする可能性があります。
犬にみかんを食べさせる際は、果肉を潰すなどして消化しやすい状態にしておきましょう。
食べさせ過ぎに注意
愛犬ちゃんがみかんを好んで食べる場合でも、少量を心がけてください。
中くらいの大きさのみかん1個のカロリーは、約60kcal。10房あるとしたら、1房は6kcalです。
決して高すぎるほどではありませんが、食べさせ過ぎればカロリーオーバーしてしまいます。
プードルやチワワなどの超小型犬なら1~2房程度、シーズーやジャックラッセルテリアなどの小型犬なら3房程度、柴犬やビーグルなど10kg程度の中型犬なら5房程度を目安にしましょう。
みかんの加工品は食べさせない
みかんの缶詰やゼリー、100%ジュースなど、加工品は食べさせないことをおすすめします。
缶詰やゼリーには砂糖や香料などが添加されていますし、天然100%ジュースは多くのみかんを使用しているので、カロリーオーバーが気になります。
みかんジュース100ml(コップ約半分)あたりのカロリーは40kcal程度ですから、ほんの少量に留めましょう。
犬にみかんを食べさせてもよいのか?まとめ
みかんには、犬への健康効果が期待できる、「ビタミンC」「β-クリプトキサンチン」「ヘスペリジン」などの栄養成分が入っています。
しかし、みかんは決して消化がよい果物ではありません。果皮はもちろん、薄皮やすじを取り、潰してから少量を食べさせる程度で十分です。
みかんを嫌う犬も多くいます。無理強いしてまで食べさせる必要はありませんので、愛犬ちゃんの体調を見ながら食べさせてみてはいかがでしょうか。