犬に味噌汁を飲ませても大丈夫だが多くの注意点あり!
日本人になじみ深い味噌汁ですが、犬に飲ませてもよいのか悩むところではないでしょうか。
結論からお伝えすると、薄めた味噌汁を少量なら飲ませてもよいですが、犬にとってNG食材が入っている味噌汁は絶対に飲ませてはいけません。
また、味噌汁には豊富な栄養が入っているものの、わざわざ犬に飲ませる必要もありません。
とくにドッグフードのみを与えている場合、味噌汁を飲ませると塩分過多になる可能性があります。
今回は、味噌汁にはどのくらい塩分が含まれているのか、犬に飲ませる場合はどんな点に注意すればよいのかについてお話しします。
味噌汁の塩分量を知る
「味噌汁は塩分が多いから犬に飲ませないほうがよい」と思っていても、家族から「栄養もあるから飲ませてもいいんじゃない?」といわれると、心が揺らいでしまいますよね。
確かに、味噌には炭水化物やたんぱく質、脂質、ビタミンE、葉酸、食物繊維などの栄養素のほか、こうじ酵素や酵母、乳酸菌、イソフラボンなどが含まれており、優れた栄養食品です。
しかし、味噌の塩分の多さは、犬の健康にとって問題となりかねません。
なぜ犬に味噌汁を飲ませる必要がないのか、具体的な塩分の量を知って理解を深めましょう。
塩分(ナトリウム)が比較的少ない味噌は?
味噌汁を味によって分類すると、辛口味噌、甘口味噌、甘味噌の3つで、塩分(ナトリウム)が比較的少ないのは甘味噌です。
一般的には辛口味噌が12%前後の塩分濃度で、甘口味噌は9~11%、甘味噌は5~7%程度で作られています。
味噌汁の原料によって分類すると、米味噌、麦味噌、豆味噌の3つ。
注意点の項目で解説しますが、米味噌や麦味噌といっても、原料には大豆が使われている点を覚えておいてくださいね。
味噌汁1杯にはナトリウムがどのくらい含まれる?
ここでいう「塩分」はあくまでも「ナトリウム」という栄養素のことで、粉末状の食塩のことではありません。
味噌汁のように塩味を感じる食品にナトリウムが含まれるのはもちろん、含有量の差こそあれ、米や肉類、果物など多くの食品にもナトリウムは含まれています。
味噌汁1杯に使う味噌の量は、約大さじ1杯(18g)ですが、米味噌・甘味噌を例にナトリウム量を計算すると、約430mgとなります。
また、同じ米味噌でも色が濃くなると塩分濃度は濃くなり、淡色辛味噌では約880mg、赤色辛味噌では920mgです。
製品によっても異なりますが、減塩味噌であっても味噌汁1杯に740mg程度のナトリウムを含んでいます。
比較的塩分量が少ない味噌は、「米味噌の甘味噌」ということになります。
犬に塩分は必要だが味噌汁の塩分は多い
「犬に塩分は必要ない」と勘違いするケースがありますが、犬の健康維持には必要で、ドッグフードにもナトリウムが少量含まれています。
犬にどのぐらいの塩分が必要なのか様々な考え方がありますが、一般的には成犬/体重1kg当たり25~50mg/日程度といわれています。
例えば、体重5kgなら125~250mgです。
味噌汁1杯分のナトリウム量は約430mgですから、体重5kgのワンちゃんには過剰摂取となることがわかりますね。
ちなみに、日本人のナトリウムの食事摂取基準では体重に関係なく、18歳以上の女性が7.0g未満、男性では8.0g未満が1日の目標値として推奨されています。
飼い主様と犬の塩分量の違いを掴むために、体重による塩分量の比較をしてみます。
仮に体重50kgの女性・30歳の飼い主様なら、7.0g=7,000mg未満/日なので、あえて体重1kg当たりに換算すると140mg未満/日となります。
・飼い主様:体重1kg当たり140mg/日
・成犬:体重1kg当たり25~50mg/日
比較すると、犬は人間の1/6~1/3程度の塩分量が目安ということになります。
ここで思い出してください。米味噌・甘味噌を使った味噌汁1杯分の塩分量は、約430mgでしたよね。
体重5kgの愛犬ちゃんの塩分量の目安「125~250mg/日」に対して、多すぎることがわかります。
上記で見てきたように、味噌汁には塩分が多く含まれているので、あえて犬に味噌汁を飲ませる必要はないでしょう。
犬に味噌汁を飲ませる際の注意点
ドッグフードと味噌汁を併用して与えない
ドッグフードをふやかす目的や、残り物の味噌汁をそのまま犬に飲ませれば、明らかに塩分の過剰摂取となるため避けましょう。
愛犬ちゃんに手作りフードのみを食べさせている場合は、塩分の過剰摂取に注意して上手に献立を作ってくださいね。
塩分過剰になると病気の要因に
健康な犬であれば尿から余分な塩分を排泄できますが、習慣的に味噌汁を飲ませて塩分過剰の食事が続くと、腎臓に過度な負担がかかって病気になりかねません。
犬に味噌汁の栄養を摂らせたいなら無塩味噌を
犬にも味噌汁をどうしても飲ませたいということであれば、水で何倍にも薄めるか、無塩味噌を活用しましょう。
スーパーなど身近な店舗では見かけませんが、通販なら無塩味噌を購入することが可能です。
味噌汁の具には犬のNG食品が含まれないこと
飼い主様の残り物の味噌汁を犬に飲ませる場合は、犬にとってNG食品の玉ねぎやアサツキ、ニラなどのネギ類、コショウや唐辛子などの香辛料が含まれていないことが前提です。
玉ねぎなどを除去してもエキスが味噌汁に残っているので、犬に飲ませてはいけません。
味噌の原料によるアレルギーに注意
犬の体調や体質によっては、大豆や米、麦など味噌の原料にアレルギー反応を起こす可能性があります。
初めて犬に味噌汁を飲ませた際は、必ず様子に異変がないか観察し、万が一目の充血や吐き気、震えなどが起きた場合はすぐに動物病院に連れていきましょう。
犬に味噌汁を飲ませてもよいのか?まとめ
味噌の種類によって塩分量は異なりますが、比較的少ない米味噌・甘味噌を使った味噌汁でも、犬にとっては多すぎます。
味噌汁を水でかなり薄めて少量飲ませるか、無塩味噌汁を使えば塩分摂りすぎにはなりにくいですね。
ただし、犬に有害なネギ類や刺激の強い香辛料が入っていないことが前提です。
また、ドッグフードには適量の塩分が配合されているので、味噌汁ぶっかけご飯のような使い方もしないでくださいね。
塩分過多の食事は犬の体に負担をかけるので、日常的に味噌汁を飲ませるのは避けたほうがよいでしょう。