犬に洋ナシを食べさせても大丈夫だが注意も必要
ラフランスやルレクチェという品種が代表的な洋ナシですが、犬に食べさせてもよいのでしょうか?
結論から先にお伝えすると、完熟している洋ナシなら犬に食べさせても大丈夫です。
未完熟の洋ナシは、中毒を起こす可能性があるため、絶対に食べさせてはいけません。
洋ナシは収穫後に追熟して食べる必要がありますが、ラフランスの場合は完熟しても見た目があまり変わらないため、犬に食べさせる際は注意が必要です。
今回は、洋ナシに含まれる栄養成分や犬に期待できる健康効果、未熟の洋ナシは食べさせてはいけない理由についてお話ししていきます。
洋ナシに含まれる栄養成分と犬に期待できる健康効果
洋ナシは梨(日本ナシ)に比べると香りが高く、ねっとりとした柔らかな食感が特徴です。
見た目も梨とは違い、ひょうたんのように上部が膨らんでいますよね。
洋ナシの栄養成分と犬に期待できる健康効果を見ていきましょう。
カリウム
洋ナシの代表的な栄養成分はカリウムです。
カリウムは、犬の体内の余剰なナトリウム(塩分)を排出したり、心臓や筋肉の働きを調節したりします。
また、神経刺激の伝達にも欠かせないミネラルです。
犬が食事からカリウムを十分に摂れなくなると、低カリウム血症という病気になることがあります。
カルシウム
洋ナシには、日本ナシと比べて2.5倍のカルシウムが含まれています。
カルシウムは骨に貯蔵され、筋肉の収縮や弛緩、神経伝達などに関係する重要なミネラルです。
カルシウム摂取量が不足してくると、骨からカルシウムが取り出されて細胞に補給しますが、長期に渡ると骨が弱くなって骨折しやすくなります。
反対に、カルシウム過多が続いても骨折しやすくなるため、摂れば摂るほどよい、というものではありません。
洋ナシに含まれるカルシウム量は、牛乳の20分の1以下と少ないので、過剰摂取の心配は不要です。
ソルビトール
洋ナシには、糖アルコールの1種の「ソルビトール」が含まれています。
直接犬に効果が発揮されるかはわかりませんが、ヒトでは咳止めや解熱効果が期待されている成分です。
また、便を柔らかくする働きがあるので、犬が便秘気味のときに役立つことが期待できます。
食物繊維
洋ナシには、日本ナシと比べて2倍強の食物繊維が含まれています。
腸を刺激して蠕動運動を促進する不溶性食物繊維が多いので、犬のお通じの改善が期待できます。
アスパラギン酸
日本ナシよりやや少ないものの、洋ナシにもアスパラギン酸が含まれています。
アスパラギン酸はアミノ酸の1種で、エネルギー源として利用されやすいため、ヒトでは疲労回復が期待される成分です。
犬の必須アミノ酸10種には含まれていません。
犬に洋ナシを食べさせる際の注意点
未完熟の洋ナシは絶対食べさせない!
洋ナシの品種のうち、ルレクチェは完熟に伴い色が緑色から黄色に変化しますが、ラフランスは緑色のままなので見た目だけではわかりにくいことがあります。
未完熟の洋ナシにはアミダグリンという自然毒が含まれており、体内で分解されるときに「シアン化水素」という猛毒を産生します。
未完熟の洋ナシを犬が誤って食べてしまうと、嘔吐や痙攣などの中毒症状を起こすことがあるため、必ず完熟した洋ナシを食べさせてください。
洋ナシが熟してくると硬さがなくなり、軸の周りを指で押すと柔らかくなっています。
また、軸も茶色くなって乾燥してくるので、押した感触とともに確認し、まずは飼い主様が先に食べてみてください。
洋ナシの芯部分は消化がよくないので必ず除去し、ひと口分をカットして与えましょう。
犬に洋ナシを食べさせる際は少量に留める
洋ナシに含まれるソルビトールや不溶性食物繊維を摂り過ぎると、愛犬ちゃんが下痢する可能性があります。
よく、オヤツは食事量の10%程度といわれますが、中程度の大きさ(200g)のラフランスのカロリーは175kcal程度と高めです。
糖分の摂り過ぎや肥満にならないよう、ひと口程度に留めておきましょう。
甘くて柔らかい洋ナシなので、犬も好んで食べるかもしれませんが、与えすぎには注意してくださいね。
腎臓病の犬には食べさせない
洋ナシ100gに含まれるカリウム量は140mgで、小松菜の約3分の1ですが、腎臓病のワンちゃんには食べさせないほうがよいでしょう。
犬に洋ナシを食べさせてもよいのか?まとめ
犬に洋ナシを食べさせても大丈夫です。
カリウムやカルシウム、便通によい成分などが入っているので、少量であれば犬にごほうびとして食べさせてもよいでしょう。
しかし、未完熟の洋ナシには中毒を起こす物質が入っているので、完熟であることが条件です。
必ず飼い主様が先に食べて確認し、愛犬ちゃんにリスクが及ばないようにしてくださいね。