犬にスポーツドリンクを飲ませてもよいが注意も必要
犬にスポーツドリンクを飲ませることはできますが、外出先でどうしても飲ませるものがない、といった緊急時以外はおすすめしません。
犬が人間用のスポーツドリンクを飲んでも中毒を起こす可能性はないものの、糖分や塩分が多く含まれているため、日常的に飲ませるのはNGです。
今回は、スポーツドリンクにはどのような成分が入っているのか、緊急時に飲ませるにはどうしたらよいのかについてお話しします。
熱中症の心配がある夏場に活用できる、犬用のスポーツドリンクの作り方もご紹介します。
スポーツドリンクに含まれる成分
人間用に販売されているスポーツドリンクは、汗で失われた水分・イオン(電解質)をスムーズに補給できるように作られた清涼飲料水です。
ポカリスエットとアクエリアスを例に、含まれている原材料や成分、カロリーを紹介します。
ポカリスエット
砂糖、果糖ぶどう糖液糖、果汁、食塩、酸味料、香料、塩化K、乳酸Ca、調味料(アミノ酸)、塩化Mg、酸化防止剤(ビタミンC)
カロリー:27Kcal/100ml
アクエリアス
クエン酸、クエン酸Na、香料、アルギニン、塩化K、塩化Mg、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(スクラロース)、イソロイシン、バリン、ロイシン
カロリー:18Kcal/100ml
このように、スポーツドリンクには人の体液に近くなるような塩分やミネラルが含まれています。
ほかにも、吸収スピードを速めるための糖質や、アミノ酸、クエン酸、香料などが添加されています。
製品によっては、レモン50個分のビタミンCや体脂肪を減少させる成分が入っているものも。
スポーツドリンクは熱中症を予防するとして、部活で汗を流す学生たちや、夏の飲み物として定着しました。
しかし、年齢や栄養状態によっては、スポーツドリンクの大量摂取が病気の要因になる場合も。
乳幼児が十分な食事を取らずに、1日1リットル以上のスポーツドリンクを飲み続けている場合、「かっけ」になる危険性が指摘されているのです。
かっけになる直接の原因として、糖分の分解に必要なビタミンB1が欠乏しているからではないか、と考えられています。
犬にスポーツドリンクを飲ませないほうがよい理由
スポーツドリンクは人間の体液に近いため、犬の体には合いません。
そのため、日常的に犬にスポーツドリンクを飲ませると、次のような危険やリスクが発生します。
塩分過多による塩中毒の危険性
塩分を含むスポーツドリンクを犬が常用すると、塩分過多により腎臓や心臓に負担をかけるため、塩中毒や病気のリスクが高まります。
糖分過多による肥満や糖尿病のリスク
スポーツドリンクに含まれる砂糖や果糖ぶどう糖液糖、甘味料は、人間でも太りやすくなることが知られています。
犬が長期的にスポーツドリンクを飲み続ければ、人間同様に肥満や糖尿病のリスクが高まります。
犬に人間用のスポーツドリンクを常用させることは避けましょう。
犬にスポーツドリンクを飲ませる際の注意点
犬を連れて海などに行った際、「しまった、水を持って来るのを忘れた!」ということもあるでしょう。
こうした緊急事態には、犬にそのままスポーツドリンクを飲ませることは可能です。
もし、少量でも人間用の水が手元にあれば、できるだけ薄めて飲ませましょう。
しかし、自宅近くの散歩で愛犬がハアハアしだしたからといって、スポーツドリンクを飲ませるのはおすすめしません。
スポーツドリンクを3~4倍に薄めれば飲ませてもよい、という情報もありますが、薄める水がある場合は水だけを与えるのが理にかなっています。
また、明らかに熱中症にかかっている場合は命の危険があるため、スポーツドリンクを飲ませて様子を看るなどと悠長なことはせず、すぐに動物病院に連れていきましょう。
手作りの犬用スポーツドリンク
スポーツドリンクを販売する会社などから、犬専用の製品が販売されています。
脱水を起こしやすい季節や長時間の外出時、防災グッズの1つとして加えておくのもよいでしょう。
犬用のスポーツドリンクを、自宅で簡単に作ることもできます。
【犬用スポーツドリンクの作り方】
カルキなどを抜いた飲用の水:1L
はちみつ:大さじ1
自然塩:小さじ1
上記の原料を混ぜるだけで完成です。
はちみつは、体に負担をかけにくく、吸収がよいことで知られる単糖類です。
糖質を摂ることで、疲労回復やエネルギー補給に役立ちます。
人間もそうですが、水道水に含まれるカルキは不要なので、煮沸するか高精度の浄水器を使用するなどして、安全な水を犬に与えましょう。
煮沸後の水は傷みやすいため、冷蔵庫に保管して翌日までには使い切ったほうが安心です。
ただし、愛犬ちゃんに与える前に常温に戻しておいてくださいね。
また、熱い季節だからといって毎日犬用スポーツドリンクだけを与えることは避けましょう。
通常の水を横に置いて、犬が自分で選べるようにしておくのがおすすめです。
注意したいのは、市販の犬用スポーツドリンクも手作りドリンクも、健康な犬限定です。
愛犬ちゃんに持病がある場合は自己判断せず、必ずかかりつけの獣医師に相談してくださいね。