犬にさといもを食べさせても大丈夫だが条件付き
秋から冬にかけてが旬のさといもは、寒い季節の煮物やみそ汁の具材にも重宝する食材ですね。加熱した状態で味付け前なら、犬にさといもを食べさせても大丈夫です。
さといもの下ごしらえ中に手が痒くなることがありますが、これは「シュウ酸カルシウム」の結晶が手に刺さっているから。何だか怖いですね。手袋をするか、酢水に手やさといもを浸しながら皮を剥くとだいぶ違います。
今回は、犬にさといもを食べさせるにあたり、どんな栄養が犬の健康によいのか、万が一生で食べるとどうなってしまうのか、注意点も併せてお話しします。
さといもの栄養と犬に期待できる健康効果
イモ科のさといもの特徴的な栄養として、エネルギーにつながる炭水化物を始め、カリウム、ガラクタンが挙げられます。
さといものエネルギー(カロリー)はイモ類の中では少なめ
食品の炭水化物は、エネルギー源となる「糖質(デンプン)」と「食物繊維」の合計として表します。
さといものカロリーを、イモ類の代表的な食材“さつまいも”と比べると、約1/3と低いのが特徴です。さつまいもで太ってしまったワンちゃんには、さといものほうがよいかもしれません。
ちなみに、少し前までは「犬には糖質を分解する酵素のアミラーゼが少ないため、炭水化物は不要」という考え方がありました。
しかし、学術雑誌『Nature』の2013年3月21日号「イヌがヒトとの生活を選んだとき」という記事に、次のような内容の論文が掲載されたことにより、炭水化物への認識が変わりつつあるのです。
スウェーデン・ウプサラ大学などによる研究論文
『犬の消化酵素(アミラーゼ)遺伝子はオオカミの2~15倍あり、アミラーゼ活性は約28倍』
野生のオオカミと人間との暮らしが長い犬とでは進化の過程が違うため、炭水化物を消化する能力も違っていた、というわけです。よほど炭水化物にアレルギーがある場合は除きますが、加熱して消化しやすい状態のさといもを犬に少量食べさせることは問題ありません。
カリウムで余分な塩分を除去
さといもには、カリウムが多い“ほうれん草”と同じぐらい含まれています。カリウムは、エネルギー代謝や神経伝達にかかわっているほか、体内の余分な塩分を排出する働きを持っています。
長距離の散歩による筋肉痙攣を予防してくれますが、さといもを食べたあとにオシッコの量がいつもより増えることがあります。
犬にさといもを食べさせる際の注意点
さといもを生で食べてしまうと中毒を起こす!
加熱したさといもを食べても中毒は起こしませんが、うっかり置いておいたさといもを犬が生で食べると、中毒を起こしてしまいます。
シュウ酸カルシウムの鋭い結晶が粘膜を荒らし、重度の消化器障害を引き起こします。
また、人間もそうですが、犬が炭水化物を生で食すると消化が困難なため、嘔吐や下痢などを起こします。絶対に生のさといもは食べさせないでください。
万が一、犬が生のさといもを食べてしまったら、様子をみることなく、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
大型犬がさといもを数個食べて中毒を起こした事例があるので、小型犬の場合はより一層注意してください。
さといものシュウ酸カルシウムは茹でて減らす
さといもに含まれるシュウ酸カルシウムの量は、ほうれん草の約1/7ですが、茹でて減らすことが大切です。
シュウ酸カルシウムは水溶性のため茹でることで減らせますが、電子レンジや無水鍋での調理は溶けだす水分がないため、加熱はされてもシュウ酸カルシウムは残っているので適していません。
また、葉柄にもシュウ酸カルシウムが含まれているので、犬にイタズラされないように注意してください。
腎臓や心臓が弱い犬はカリウムに注意
茹でたさといものカリウム含有量は多く、野菜の中では“やまといも(生)”に次いで第2位です。カリウムが多いさつまいも焼きや、茹でたほうれん草、茹でた枝豆よりも多く含まれています。
さといものカリウムは加熱してもあまり減少しないため、カリウム制限を受けているワンちゃんや腎臓、心臓の病気を抱えているワンちゃんには食べさせないほうがよいでしょう。
利尿剤を服用しているワンちゃんの場合、高カリウム血症になる可能性があるため、必ず獣医師に相談してください。
犬にさといもを食べさせるなら調理法や病状に考慮して
免疫力を高めたり便通を整えたりと、犬の健康面にも役立つさといもですが、生のさといもにはシュウ酸カルシウムが含まれているので、必ず茹でてから食べさせるのが鉄則です。
イモ類としてはカロリーが低めなので、さといもをおやつとして少量食べさせてもよいでしょう。喉につかえないよう、潰すか小さくカットするなどして安全面にも考慮しましょう。
また、さといもにはカリウムがたくさん含まれているので、愛犬ちゃんの病気や体調を考慮して食べさせてくださいね。